本研究は実習生を対象に、実習前後の日本人像について分析したものである。分析の結果をまとめると以下の点に集約される。 (1)全体的に実習生の実習前の対日イメージとしては、日本人の「勤勉性」を高く評価し、その「先進性」を低く評価する傾向がある。 (2)在日実習生と国内実習生の対日イメージのデータを示した図表の結果をみると、日本人の「親和性」と「信頼性」の二つの側面に関する評価には、実習先の違いによって明瞭な差が生じていることがわかる。つまり、国内実習生に比べて、在日実習生は実習後の対日イメージをよりポジティブに捉えていることである。 (3)在日実習生は実際日本で仕事をすることにより、抽象的な対日イメージがより具体的、客観的になった。それは日本人との職場における関係のよさが対日イメージを好意的なものにした結果ともいえよう。 (4)日本人の「勤勉性」に関する項目は、実習後になっても、ほとんどが依然として高く評価される傾向がある。両グループとも同じ傾向なので、すべての実習生が持つ日本人イメージの安定した特徴といえる。 (5)国内実習生の対日イメージは実習前後でも比較的一定で、すべての側面に関して在日実習生の評価にさほど明瞭な違いは生じていないが、「付き合いにくい/付き合いやすい」と「不正直/正直」という二つの項目では両方とも日本人をより好意的に評価するようになったことが示されている。 |