近年、台湾において、日本語学習者の学習意欲低下という問題が頻繁に指摘されている。授業内容や教師の教授法を改善することを通して学習者の学習意欲を喚起させることが重要であるが、学習者が学習に対する「不安」を及ぼす影響を明らかにすることもより重要である。一体、日本語学習者が如何なる学習不安を抱えているのか。その学習不安が学習者の学習成果にどのような影響を及ぼすのか。また、学習者が学習不安を如何に軽減させるのか。以上のような問題意識を踏まえ、本研究では情意面における日本語学習者の学習不安に関する類型を提示し、学習不安が学習成果に及ぼす影響を調査するものである。さらには自己決定論に基づく動機付け及び自己効力感が学習不安に及ぼす軽減効果についても実証的なデータを用いて明らかにする。 分析結果から、学習内容と間違いに対する不安が低い学習者は、学習成果を高めるが、一方で、その不安が高い者ほど学習成果が低くなる。自発的学習は、日本語の学習内容不安と間違い不安を軽減させうるが、自己目的的学習に対する動機づけはその不安を増加させる方向に作用していることも明らかとなった。本研究で得られた知見は、(1)内・外的活動による主体的な学習の促進、(2)他人に前で日本語での発言や意見陳述の能力の養成、(3)自己効力感の向上による学習者の内的変化の促進、などを用いることにより、学習者の日本語学習を向上させることが可能だと思われる。 |