人間社会の中で、助け合い精神は欠かせないものである。本論文では台日大学生を対象とした調査結果の分析を通して、台日の大学生のボランティア意識の違いを明らかにしたい。 調査結果は以下のように要約できる。①ボランティア活動をした比率には、台湾と日本の間で大きな違いは見られないが、台湾の大学生のほうに明確な目的意識が見られた。②ボランティア活動の分野については、台湾の大学生は様々な活動をしているのに対して、日本の大学生が主にクリーン活動をしている。③台湾の大学生が持っているボランティア意識とコミュニティモラール意識は、日本の大学生のよりやや強い。しかし、 日本の大学生のほうが返済規範意識をかなり強く持っている。④アノミー意識については、台日にはあまり差異が見られない。⑤ボランティア意識と社会意識の相関については、台湾においては、ボランティア意識はコミュニティモラール意識とも、アノミー意識とも、プラスの有意な相関が見られる。一方、日本においては、ボランティア意識とコミュニティモラール意識との間には、有意な関連が見られるが、アノミー意識とはマイナスの関連が見られる。 総括すると、将来、台湾のボランティア活動とボランタリズムの精神は日本と異なり、ボランタリズムの維持が可能なだけではなく、更に国民個々人や宗教団体が行うボランティア活動が中心となることも推測されるであろう。 |