「一次移転」と「二次移転」がもたらすTPS(Toyota Production System)浸透状況と日本型適用度を調べ、それぞれのトヨタ生産システムの世界標準または「日本型経営生産システムの国際化モデル」の構築にとっての意味合いを吟味する。また、トヨタ生産システムがグローバル化している反面、現地化も実現されていく、つまり「グローバルベスト」と「ローカルベスト」を追求するなか、トヨタの新たな世界標準の推進とアーチテクチャーの進化を試論する。 トヨタのアジアにおける代表的な生産拠点である、台湾トヨタと広州トヨタの場合は、いずれもTPSがよく浸透している。これは「方式適用」が高いレベルに達し、「修正的適用」という概念を実現したと言える。特に、生産の標準化、設計開発の標準化による部品の標準化によって、波及効果が発生する。つまり、TPSも導入している部品メーカーは特にグローバル化のなかで、オープンなサプライチェンを構築する日系自動車メーカーの有力な調達先となる期待のほか、そのTPSを強い武器としてグローバルなサプライヤーにまで成長する可能性を秘めている。 |