本稿は日本語を第二外国語として学ぶ台湾人大学生を対象とし、学習ストラテジーを取り入れたタスクベース型日本語会話授業のデザイン及び実践結果を報告するものである。研究対象は、台湾成功大学外国語学部で開講された日本語会話授業を履修した38名の大学生である。受講生の日常生活や将来直面すると予想されるタスクを選定し、そのタスクを達成するために、役立つ学習ストラテジーを提示した。最終的に学習者が自分にとって必要な学習ストラテジーを使い、タスクを解決していく学習支援を試みた。期間は毎週2時間、18週間に渡り、多様なデータを収集し、会話授業の成果を考察した。その結果、以下のような成果が得られた。 一、授業の満足度に関して、38名中、36名の学習者が、今回の実践に満足しているとインタビューを通じて明らかにした。しかし、2名の学習者がタスクベースの授業に学習不安を抱えており、伝統的な教師主導型である文法説明の割合を授業に増やしてほしいことが分かった。 二、アンケート調査を通じて、8割以上の学習者が今回の授業を経験し、以前に比べて日本語の学習に積極的に取り組むようになった。 三、会話テストを行った結果、本来、日本語を片言しか話せなかった学習者が「語彙量」、「文の複雑さ」において授業開始前より学習成果が向上していることを観察した。 |