格差や不平等にまつわる議論は垂直社会の「上」「下」によって生じた諸問題に焦点を当てて論じられている。それに対して、社会的排除は「労働市場における中心と周辺」、あるいは「社会の主流とその周辺」に着目して論じられている。社会的不平等論は所得格差拡大の量的問題や社会集団の間の利害対立の問題を論じているが、「排除されている人々」のもつ多元的な問題にまで議論が及んでいない。このような社会的不平等論に対して、広義の社会的排除論は、不平等も視野に入れつつ、「排除された人々」自らの結束を強化することにつながっており、そうした人々と社会との関係を問いかけうる。すなわち、広義的社会的排除論の射程は、社会的不平等論にまつわる諸問題を内包し、社会的不平等論を超える性質を有していることを意味している。 そこで、本稿では「内、外」を中心とする「社会的排除」の視点で若年者雇用の問題を捉え、労働市場、制度、社会的連帯から排除された若年者の雇用と貧困の実態を検討する。 |