本研究の目的は、台湾人日本語学習者に適切な「日本語学習についてのビリーフ調査票」(Beliefs About Language Learning Inventory: BALLI)の枠組を提案することにある。この目的を達成するため、まず文献研究によって自律的学習者の特質、その重要な要素の1つとして重要視されている言語学習へのビリーフの概念と枠組を解明し、中国人学習者の持つビリーフのあり方を明らかにする。また、ビリーフの枠組に基づき、優秀な日本語学習者としての大学の日本語教師(29名)と大学院生(34名)を対象にして半構造的な面接調査を行い、台湾人日本語学習者に相応しいBAJLLIの中身を解明することが試みられた。 結果として、ビリーフ研究を主導し推進する者の中に、Horwitz(1987)がよく注目されているが、そのビリーフ・システムは、英語学習者を対象として考案したものであり、自律的学習志向によるビリーフ・システムではない、ということが分かった。また、日本語教育研究では、HorwitzのBALLIがよく利用・修正されているが、そのBALLIは、あまり信頼性と妥当性の検定によらず、また実際のビリーフ調査から得られたものではない。更に、台湾人日本語学習者に適切なBALLIの枠組と内容が、①動機付け、②学習責任、③情意、④学習目的・目標、⑤学習方法・方略、⑥学習リソースと⑦学習管理・評価という7側面41項目からなる。最後に、BALLIの調査内容を編成するとき、学習者の学習経験・背景やキャリア経験を考慮に入れておかなければならない。 |