大正大学綜合仏教研究所は1999 年7 月にポタラ宮所蔵梵文写本調査を許可され、『維摩経』と『智光明荘厳経』を発見し、その影印版を日中共同で出版した。その発見の経緯について簡略に述べ、同じ帙に包まれていた『維摩経』と『智光明荘厳経』の関連について若干の考察を加えた。 一つは、如来の法身について、『智光明荘厳経』の「文殊讚仏法身禮」と『維摩経』「方便品」の第12 節「如来の身体」、「見阿閦仏品」第1節の「如来をどのように見るか」等に列挙される法身の特徴が、共通の理解を示していることについて報告した。と同時に、弘法大師空海による「文殊讚仏法身禮」の方円図について紹介した。 一つは、『維摩経』と『智光明荘厳経』に出る共通の偈頌について、『維摩経』に出る4 偈頌を『智光明荘厳経』が引用し、5 偈頌に増広した可能性を示唆した。 ただ、共通に維持され膾炙されていた可能性も棄てきれない。 |