筆者は、非日本語専攻の大学生を対象に「聞く」、「話す」、「読む」、「書く」4つの技能を含める日本語の授業を行っている。本研究の考察対象となるのは、元勤務校の言語センターで開設されている「基礎日語実用文型(二)」という授業、2 つのクラスの学習者の作文である。JFL 環境の非日本語専攻学習者のための授業計画に向ける予備調査として、文法・文法知識の応用状況を考察することにし、学習者にとって身近な話題「わたしの得意なこと」と「夏」をテーマに作文を書いてもらった。また、作文の提示方法を「全文提示」と「文型提示」2 種類取り入れてみることにした。さらに、文型使用の拡大、文型使用の適切さ、文法的側面3つの側面から目標文型使用の考察を行った。今回の考察を通し、文型使用の拡大においては、「文型提示」の提示方法が文型使用の拡大に役を果たしたことが観察された。それは、「文型提示」の提示仕方は、モデル文に縛られず、目標文型から成り立った作文の構成に従った上で、自分が伝えたい内容を適切な文型を使い、より自由に組み合わせることができたからだと考えられる。また、「全文提示」は文法的側面のより高い達成度につながることが観察された。さらに、文型使用の適切さにおいては、提示仕方と関わりなく、適切な用例もあれば、不適切な用例もあった。 |