現代日本語の中で、論理的展開を表す接続表現は多種多様であり、特に因果関係を表す接続表現のバリエーションは極めて豊富である。そしてそれらの接続表現の多くは意味用法上で複数の意味合いを持ち合わせており、ジャンルや文体などによって使い分けられている。そのため、実際の運用の中で、どのような場合にどのような接続表現を使うべきか混乱が生じやすく、日本語学習者にとって習得が困難である。 そこで、本稿では接続表現に関する専門図書3 冊で因果関係を表すとして挙げられた接続表現全106 種類を取り上げ、「YNU 書き言葉コーパス」を用いて用例を収集し、日本語学習者の作文による因果関係を表す接続表現の使用実態を明らかにした。母語別、タスクの難易度別、作文レベル別の観点から考察を行った結果、日本語母語話者と日本語学習者は接続表現の使用が異なっていることが分かった。特に、日本語学習者の方が接続表現の使用が多かったが、接続表現のバリエーションおよび使用頻度は、難易度が中程度の場合にのみ、両者ともに多かった。なお、日本語学習者はいずれの作文レベルにおいても「だから」と「それで」をよく用いるが、「それで」は作文レベルが高いほど多用され、「だから」はその逆の傾向にあることが分かった。 |