本研究は、中国語を母語とする日本語学習者を対象とし、促音の位置、アクセント型、子音種などの要因を考慮しながら選定した自然な3 音節刺激語を用い、促音の単語内位置による影響を中心に、促音の誤聴の実態と特徴について考察した。 その結果、促音位置が促音の聞き取りの正確さに大きな影響を与えていることが分かった。それに、正しく聞き取れない場合において、三つの誤聴のパターンが観察された。まず、促音のない刺激語において、促音の挿入が見られた。アクセント型が挿入の位置との相互作用のもとで、促音の挿入の発生に影響を与えている。また、促音がある刺激語において、促音の脱落と促音の移位が見られた。二つのパターンの発生率から、促音の有無より促音の位置を正しく聞き取ることのほうが難しいことが分かった。それに、両方においても促音位置からの影響が観察された。その上、促音の脱落の発生は後続子音種からある程度影響を受けている様子と、アクセント型と後続子音種、両方とも促音位置と関わりながら、促音の移位の発生に影響を及ぼしていることが窺えた。 |