初級読解授業は普通インプット中心の学習活動だと考えられている。初級段階では、日本語学習者が日本語の表記をはじめ、発音規則、基本語彙、基本文法・文型、文節・文の構造といった様々な言語的知識も習得せねばならない。しかし、習得状況の確認によく使用される筆記試験にて確認できる側面が限られており、すべての側面を確認するには、週に4 時間だけの読解授業では十分だとは言えない。また、授業で学んだ言語知識が応用に結びつける場合、それがどのようにシラバスに組み入れるかといった問題にも直面している。そこで、初級読解授業での学習活動に加え、初級で学んだ言語知識の応用状況を考察するために、タスクを取り入れることにした。 今回の考察では、タスクの遂行によって読解力のみではなく、日本語の表現力も同時に育てることが観察された。また、完成した作品を通し、日本語能力を包括的に確認し、5つの評価項目のうちでアクセントは達成度がいちばん低い項目であることがあらためて確認できた。さらに、語彙と文法・文型項目においては、作品の到達度は言語的知識の定着度(筆記試験の成績)と関連していることを明らかにした。 |