本研究では、日本語学習者と日本語母語話者における議事録の要約プロセスについて考察してきた。質問紙調査の結果の分析から明らかになったことは次のとおりである。 (1) 重要なメッセージを伝えたかの比率において、相手に促したい行動という内容を除いて、両者の間に大きな差がないことが分かった。特に、結論をうまく捉えていないことが両者に共通した傾向である。 (2) 両者とも主観と事実をはっきり区別する力を持っている。 (3) 両者とも報告の順番を議事録の内容の流れに沿って話す傾向があり、メッセージの配列の考慮や能力をまだ習得していないのが現状である。特に、結論を報告の最初に置くべきである意識をもっていないことが大きな課題となっている。 (4) 台湾人の日本語教育だけでなく、日本人の国語教育においても要約力の指導をコミュニケーション教育として、扱っていく必要がある。 |