「書類-類書」・「戦歴-歴戦」のように、現代日本語にはこの二組の字順の逆転する二字漢語があるが、現代中国語の辞書にはこの二組の字順の逆転する二字漢語がいずれも語彙として収録されていない。 本稿は、現代日本語にあって現代中国語にみられない字順の逆転する二字漢語を日本語の辞書から抽出し、「AB」と「BA」との間の意味上の相違について考察した。その結果、現代日本語における字順の逆転する二字漢語では、字順の逆転によって意味の違いが生じる組み合わせが最も多いことを明らかにした。 また、現代中国語の辞書の見出し語として立項されていないが現代日本語に漢字語彙としてある字順の逆転する二字漢語について歴史的な観点からその実態を明らかにした。その結果、現代中国語の辞書の見出し語として立項されていない122 組(244 語)の字順の逆転する二字漢語のうち、『大漢和辞典』の見出し語にあったのは196 語であった。しかし、この196 語のうち、日本で成立した文献を典拠としているものは65 語もあり、この65 語は中国の文献から借用したものとは言えず、和製漢語の可能性があり、語誌について精査する必要があると考えられる。そして、『大漢和辞典』の見出し語として立項されていない48 語は、日本語の漢字語彙として明治時代以降の日本近代の文献が出典として示されている用例が多いことがわかった。 |