日本大學職涯援助現況之探討——建構有效的職涯援助∣Study on Career Support at Japanese Universities: Toward the Construction of Effective Career Support

日本の大学におけるキャリア支援の現状に関する一考察－効果的なキャリア支援の構築に向けて－

2000 年代に入ると、大卒者数の増加や、非正規雇用の代替雇用の増加、新卒者の厳選採用など、若年者を取り巻く労働市場の大きな変化により、移行困難な若年者が顕著になってきている。この背景のもと、各大学では若年者をスムーズに職業へと移行させるため、キャリア教育に力を入れ始めるようになった。しかしながら、キャリア教育の展開にあたっては、往々にして芳しい結果が伴っているとは限らず、キャリア教育に関する新たな取り組みに「適応」するか、あるいは「抵抗」するかという学校内におけるパワーバランスが幅を利かせており、学校内外の状況には十分に対応しきれているとはいいがたい面がある。
また、近年では進路指導、就職支援をキャリア支援という枠組みに発展させ、キャリア教育を中心に諸施策が展開されてきた。今日、大学を中心に推進されているキャリア支援に関する先進的な事例を頻繁に見かけるが、同時に各大学で実施されているキャリア支援の有効性や課題を捉えることが困難な状況にあると言わざるを得ない。キャリア支援の有効性を評価する一つの可能性としては、在学生からの評価、及び卒業生からの評価の両方である。
そこで、本稿ではまず、キャリア教育に求められる能力を明らかにし、次に大学において推進されているキャリア支援の制度的、実践的な取り組みを検討したうえで、トランジションの視点から有効なキャリア支援の構築に向けてキャリア支援のモデルを提示する。