本稿は中・上級終了程度の日本語学習者のストラテジー使用が如何なるものであるのか、それが文章理解にいかに反映されるのかを調査研究したものである。 読解ストラテジーの調査に当たっては、従来の研究でよく提示されたトップダウン・ストラテジー(略「TD」)、ボトムアップ・ストラテジー(略「BU」)、テストーテイキング・ストラテジー(略「TT」)を取り上げた24 項目によってアンケート調査を行った。その結果として「TD」と「TT」は、「BU」よりよく使用されるということがわかった。そこで、文章の理解度測定結果においては、大半の学習者は既有知識などを頼りにしテキストの流れを読み取ったり、解答する前に選択肢を先に読んでそれを手掛かりにして答えを探したりするというようなストラテジーの使用傾向が察せられた。それとともに、「BU」使用においては、単語、文の意味理解に偏り、文法構造や文章全体の論理的な展開を軽んじるといった傾向も見られた。 |