澎湖県を訪れる観光客の変動と増加が海洋環境に及ぼす影響を解析し、澎湖県に相応しい環境改善対策のありかたを統計資料を基に解析した。 澎湖県を訪れる観光客は2009 年以降、県人口の7~9 倍に、馬公市人口の13~16 倍にも増加している。その内訳をみると、例年、春から夏は馬公市人口の10 倍~12 倍に達するが、秋から冬は0.7 倍に激減する季節的偏りがみられる。このような観光客の季節的偏りは、交通費や宿泊施設利用料や飲食費などの高騰を招くことから澎湖県の観光産業にマイナス要因となる。また、観光客が出す排泄・廃棄物量とその処理に要する経費は、観光客の数が増えれば増えるほど増加することから、馬公市にとってこれらの処理経費増大は市財政にとって大きな負担となる。 多額の経費を要する公共処理施設に代わり得るものとして、澎湖県の地形、人口分布、施設建設経費等を考慮したとき、合併処理浄化槽が適していると考えられる。また、現在の処理技術では除去することが難しい生活排出物中の富栄養化物質は、貝類や海藻草類などの水産生物の生理生態的特徴を利用することにより除去が可能であるだけでなく、これら生物の収獲・販売を通して経済的価値を得ることができることから、海洋生物の生理生態機能を応用した環境に優しい環境改善法、環境生態技術の導入が澎湖湾の環境改善に最も適した方策であると考える。 |