本研究では、台湾北部の高校日本語教師を対象として、日本語教員免許の取得教員及び未取得教員の専門能力の実態を明らかにしようとするものである。その結果は今後の効果的な研修体制の構築及び改善に資すると考える。以下のことが明らかになった。 1. 取得教員は「言語一般」、「言語と教育」、「社会・文化・地域」に対し、自己評価の得点に差異があることが見出されたが、五領域の下位尺度に対する自己評価の全体傾向について、「あまり知らない/あまりできない」並びに「基礎知識程度」という結果であった。 2. 未取得教員は「言語と心理」、「言語と教育」、「社会・文化・地域」に対し、自己評価の得点に差異があることがわかったが、五領域の下位尺度に対する自己評価の全体傾向について、「あまり知らない/あまりできない」並びに「基礎知識程度」という結果であった。 3. 両群からみた自己評価の得点に差異が見られたのは「言語一般」の「言語の構造一般」であった。ところが、「言語の構造一般」以外の項目に対し、両群の差異がほとんどなく、しかも、五領域の下位尺度に対し、両群それぞれの平均値は「とても詳しい」と「比較的に知っている」という結果は一つもなかった。 |