本稿では(1)学習ストラテジーの使用頻度と学習者の日本語能力の優劣、性別、学習歴の長短との関連、(2)学習者の多用する学習ストラテジーの傾向、(3)日本語能力が上位、中位、下位の学習者がよく使うストラテジーの相違の三点について調査を行った。その結果、日本語能力が高ければ高いほど、頻繁にストラテジーを使用することが確認できた。しかし、学習ストラテジーの使用頻度と性別や学習歴の長短との間には顕著な関係は見られなかった。また、全体の調査対象の学習ストラテジー使用の傾向を調査した結果、記憶と情意的ストラテジーの使用がやや低めであることもわかった。最後に、日本語能力の異なる学習者がよく使うストラテジーの調査結果から、上位の学習者がより誤りを犯すことを恐れないこと、また、自己モニター能力を持つことが確認できた。 |