今回の研究は、すでに覆刻印行した『蕃人讀本』と『教育所用國語讀本』に続くもので、日本統治下の台湾原住民初等教育「国語」読本シリーズの分析であり、文献保存のためのものである。『公學校用國語讀本第二種』を対象に分析を試みた。これにより日本統治下における台湾原住民の初等教育「国語」(日本語、以下「国語」と称す)読本のシリーズを完成させることになる。また、当局の台湾原住民児童に対する「国語教育」(日本語教育、以下「国語教育」と称す)の全貌を明らかにすることが期待できよう。 「国語教育」の中でもっとも重要な地位を占める教科書を調べることによって、教育制度の面からだけではなく、教育内容の解明にも繋がると考えた。この「国語」教科書は、台湾原住民初等教育における三つの「国語」教科書の中で、唯一、台湾原住民児童と台湾人児童とのために作られたものである。初めて台湾原住民児童向けに作られた「国語」教科書である『蕃人讀本』と、警察官(警務局)によって作られた「国語」教科書『教育所用國語讀本』とは違った特色持ち、覆刻の意義が高い。「国語教育」資料として、及び現行の日本語教育史研究のために十分な価値を持つものである。 |