昨今、経済のグローバル化が進む中、国や組織(企業等)によって経営理念が異なり、従来の経営文化、経営戦略、市場変化への対応、収益力の改善、競争力の強化へと転換し、各業界に経営文化への適応性が求められてきている。 一方、日本企業が海外進出する際、様々な課題を抱える中で、特に経営文化の海外移転において困難の度合が高いと指摘される。本稿の目的は、日本ホテル業界において形成された経営文化の海外移転について分析することである。 戦後日本の高度成長を生み出した第一の要因として日本企業の優れた経営管理をあげることができる。本稿にて台湾における日系ホテルの事例を通して、経営管理を研究し、また本稿で取り上げる日本的経営管理とは、狭い意味での人事管理にとらわれず、経営文化も含んで研究するものである。 調査結果によると、日系ホテルは海外移転した際、1. 会社は社員に経営風土の共感をもたらすように、従業員に強烈な帰属感を強調させ、また、社員に企業と共同体という意識させることが重要である。2.日本的経営の企業は人事評価制度においても独自の特徴が存在し、ホスピタリティを持っている人物が、職場でよい評価を受け、結果として昇進の階段を上っていく傾向にある。3.日本的経営式の人材育成への取り組みが台湾では通用できない部分もあり、さらに検討する必要があるという結論が得られた。 |