談話場面においては、言葉だけが情報を伝達するものではない。言語以外の顔の表情、視線、頷きなどといった非言語行動によっても多くの情報が伝えられている。よって、コミュニケーション能力の育成という点においては、言語行動と非言語行動とを関連させた日本語教育指導が重要視されるべきだと思われる。 日本語学習者にとっては、日本人のようにその場面状況や非言語行動から発話者の心的態度を察知するのは、それほど容易なことではない。また、日本語教育においては、非言語行動指導が重要視されつつあるが、これに関する研究はまだ十分ではないと思われる。 本稿ではまず従来の関連研究を概観し、次にマルチメディア教材を考察対象とし、談話場面における頭部動作の機能を分析し、分類する。最後に、その内容をもとに、コミュニケーション能力育成に有意義な示唆を示したい。 |