台湾のように日本語が生活言語として使用されていない場では、教室学習が大勢を占め、また、学習者にとって、教科書に頼らざるを得ない外国語環境にある。そのような環境にある日本語学習者の敬語能力は、学年が上がるにつれてどのように変化するのか。また、日本語教育現場の敬語指導および日本語の初級教科書では、動詞を敬語語形(敬語動詞)に変換することに重点が置かれている。日本語の敬語動詞の種類として、尊敬語と謙譲語があり、さらにそれぞれ規則的な敬語動詞と不規則的な敬語動詞の2つに分けられる。異なるタイプの敬語動詞の習得に関する長期変化は同じなのか。以上の2つの課題を明らかにすることを目的として調査を行った。その結果、敬語知識については発達が見られたが、敬語の応用力についてはあまり発達が見られなかった。また、尊敬語より謙譲語、そして不規則的な敬語動詞より規則的な敬語動詞の習得が遅れているという結果が得られた。 |