日治時期臺灣原住民兒童之道德教育——以道德教科書中之人物階層為中心∣The Moral Education of Formosan Aboriginal Children During Japanese Colonization of Taiwanusing the character's stratum in moral textbooks

日本植民地時代における高砂族児童の修身教育－修身教科書に見られる人物の階層を中心に－

本稿は、高砂族児童が使用する修身教科書に焦点を当てて分祈したものである。三期（三種類）の国語教科書と違い、高砂族児童に対して使われていた修身教科書は一期しかない。その意味では、高砂族児童教育で唯一の修身教科書である『公學校修身書第二種』は、当局がいかなる価値銀を高砂族児童に植え付けようとしていたかを探り出す手がかりとして貴重な資料である。
台湾総督府は、高砂族児章にどのような社会の階層的秩序を示したのか、また、どのような修身教育の目的があったのかを具体的に提示することが本稿の目的である。
『公學校修身書第二種』に登場する主要人物をみると38人であり、最も多く登場した階層は皇室である。このうち登場課数の多い人物をみると、第一位が二宮諮徳（ニ宮金次郎）で4課、二位が伊能忠敬で2課、三位が天照大神で2課となり、この3項目で全体の3分の2を占める。第一位の二宮尊徳は農民で、台湾総督府の求める理想的な人間像である。要するに、高砂族を農業生産者に教育することが、統治者の最終目的であるイメージと合致したのである。こうして出来上がった社会階層は、権力者が求める単なる勤労者の秩序である。