本稿では、「ぜ」と「ぞ」を主張や働きかけの強弱の違いではなく、別の終助詞であるという鏡点から、次のように、規定した。 「ぜ」:話し手の中で既に結論が出ていることとして聞き手に告げる。結果として、話し手が出した結論、告げる事柄が正しいという主張につながる。 「ぞ」:話し手の告げる事柄が間違いないという強い主張を表現する「ぞ」が付加された発話が、「聞き手の行為を促す働き」をしたり、「聞き手の認識を変えよう」としたりするのは、文脈によるものであり、「ぞ」の中心的な性質ではない。 「ぞ」には直感的、感覚的な判断による主張も含まれることがある。一方、「ぜ」の主張は、話し手の中で、処理が行われ、話し手の結論や認識したことに正しいという判断をしたという主張であるため、その結果、余裕のある発話になる。そして、間違いはないという強い主張が直接聞き手(話し手の本人の場合もある)に向かう「ぞ」とは違い、「ぜ」の正しいという主張は間接的な主張になる。 |