英文摘要 |
本稿では、日本語と韓国語のモダリティに関する対照研究という立場から、「模様だ」を対象に、日韓の違いについて分析した。両言語形式は形態的に「模様(모양, moyang)」という漢語にコピュラである「ダ(이다, ida)」が接続された同じ語構成をなしているが、使われる状況や意味には違いがある。分析の結果、次の三つの違いがあることが確認できた。 第一に、両形式は共に「模様(moyang)」という名詞の具体性が薄れ、抽象性(依存性)が高くなっている文法化が進んでいる。「模様だ」が「公的な報告」の用法を表すのに対して、「모양이다(moyang-ida)」が「推測」という意味への拡張が認められる。 第二に、両形式は出現する資料の種類によって大きな差があった。「模様だ」は公的報告を表すだけに新聞記事に偏っている。それに対して「moyang-ida」はテキストの種類に関係なく現れるが、中でも小説のようなテキストで現れる割合が高い。 第三に、「moyang-ida」は「模様だ」と違って、日本語の「たぶん/きっと」「どうやら」に当たる副詞との共起も可能である。話し手の個人的な判断を表すため、公的な報告としての使用は不自然である。 |