自動車メーカーが海外進出に当たって、「供給サイド」と「需要サイド」を同時に満たす必要がある。本研究は自動車産業の特殊性に着目し、トヨタのアジア進出とビジネス展開に関する戦略の理論的説明を求めるとともに、理論的批判を加えるため、研究内容と研究方法は次のように展開される。まず、トヨタ自動車の対台湾直接投資及び対中国直接投資を折衷パラダイム(OLIパラダイム)を用いて理論的に説明する。次に、トヨタ自動車のグローバル戦略を検討してから、トヨタ自動車のアジアにおける代表的な生産拠点である、台湾と中国への進出戦略を論じる。その際、各生産拠点をOLIパラダイムという枠組みで、その優位性を分析するとともに、AAAフレームワークによりトヨタ自動車のグローバル戦略の分析を行う。最後に、上記実証した理論を吟味し、そのインプリケーションを提示する。 本研究より、次の理論的インプリケーションを明らかにした。実証したところにより、OLI パラダイムとAAA フレームワークの二つ代表的理論は個別にトヨタ自動車などの自動車メーカーの海外進出とその戦略を説明するには限界があると指摘する。説明力を強化するため、OLI パラダイムとAAAフレームワークを統合または調和して、新しいフレームワークを構成して分析する必要がある。 |