自由競争や規制緩和などを強調した世界規模での市場主義経済などによる劇的な社会的・経済的変化により、日本における社会・経済の構造は大きな影響を受けている。例えば、終身雇用制度に代表されるようなそれまでの日本の雇用制度が崩壊している。多くの企業が正社員の数を減らす一方で、パートや契約社員の採用を増やし始めた。その結果職を失う、長期間の失業に苦しむといったリスクが多くの人々の間で生じるようになったのである。特に教育や雇用あるいは職能訓練を受けていないニートといわれる特定のグループが生まれた。内閣府によれば、ニートの数は56 万人といわれる。15 歳から34 歳までの若年人口におけるこの無業者の割合は2 パーセント前後である。このように、数そのものは表面的には少ないかもしれないが、労働力不足や年金への悪影響など問題は大きい。それゆえに、日本政府は雇用を手助けする救済プロジェクトを若年層向けに行っている。 しかしながら、このような措置は研究者や若年層の救済などに携わる人々から批判されている。というのも、このような政府による救済措置は、なぜニートと呼ばれる人々が仕事にアクセスできないのかその背景を無視している、と考えているからである。従ってこの論文では、政府による救済政策となぜニートと呼ばれる人々が仕事にアクセスできないのかその背景との間にあるギャップに関して分析していく。 |