協同学習を日本語の読解および作文の授業に取り入れる研究が散見する中、筆者は聴解訓練の授業に取り入れるという試みをした。課題を解決するための話し合いの時間を増やし、個人の責任を促すためのグループ競争を導入した結果、学習者のストラテジーの使用および学習成果の向上に繋がるという結果が得られている。 本研究では、学習者が協同学習の導入をどう評価するかを知るために行ったアンケート調査の結果を整理した。学習者は、協同学習を通して、自分の学習行動の変容を報告し、内容理解および語彙学習の面でも効果があると答えた。そして、課外時間での協同学習活動も学習者に支持されていることがわかった。しかし、学習者が積極的に協同学習へ参加する意欲の面では、まだ満足できる状態ではないことも明らかになった。 さらに、協同学習によって、練習する動機の促進、話し合いによる学習内容の精緻化、練習ストレスの低減、ほかの学習者の学習行動との比較による自己モニタリングなどの利点も挙げられている。社会ストラテジーに属する協同学習の導入によって、学習者の認知、情意およびメタ認知ストラテジーなどの使用にも反応般化をもたらす結果が得られた。以上のような結果から、聴解訓練への協同学習の導入はストラテジー使用、および学習成果の向上に繋がったほか、学習者からもプラスの評価が得られているといえよう。 |