本研究は、日本語学習者が謝罪行為を行う際、どのように表現し遂行するか、また謝り表現の談話特徴及びその傾向を、談話の視点から分析したものである。一方、社会的ファクターである性差により生じる違いをも視野に入れ考察し、社会言語学的な側面から学習者の習得状況を探ろうとした。分析の結果、まず、謝り表現が談話全体の流れの中で、位置によって出現頻度が違うこと、特に[開始部]及び[終結部]での使用は顕著な差があること、また再謝罪の使用が少ないこと、そして性差は謝り表現の出現位置にあまり影響を与えないのに対し、言語形式の選択及び使用頻度には影響があることなどがわかった。さらに、謝り表現の選択には話し手と聞き手の親疎関係が要因として働いていることが示唆された。以上、本研究によって明らかになった結果は、日本語教育上の会話指導にとって有用な示唆となるだろうと考える。今後もさらにデータを増やし、分析を行う必要がある。 |