本論は、2つの異なる継承語教育の形態を2校の実態調査と1校の事例報告を合わせ3校の分析を通して、エスニック・コミュニティの活力と言語政策、そして継承語教育の今後のあり方について考察を行った。 エスニック・コミュニティの運営による週末継承語学校は財源を中心として長きに渡り世界的に共通の課題を抱えていることが明らかになった。近年では、国際結婚家庭の子どもと現地生まれの子どもが増え、ますます子どもの言語的背景は多様化している。また、そういった子どもの家庭は、移住国、つまり継承語学習者をホストする国に永住するケースがほとんどになってきている。 カナダエドモントン市の中国語バイリンガルプログラムのように、公立学校教育の中で現地語の英語と継承語の中国語の両方を学習言語として使用し、伸長していくことは国の言語資源の開発につながるものである。 エスニック・コミュニティに活力があり、幼稚園の自主運営の実績などある程度の条件が揃った場合には、子どもの言語獲得期に教育委員会、学校、コミュニティが三位一体となり適切な教育支援と措置で二言語を育てていくべきであろう。継承語学習者の子どもにとっても、社会にとっても、意義深きことである。 |