異 な る上下関係あるいは親疎関係の相手の「家族」、「親戚」、「知らない人」に対し、フォーマルな場とインフォーマルな場それぞれにおいて、日本語の敬語の使用不使用について、日本人大学生と台湾人日本語学習者を対象にアンケート調査を行った。データを「決定木分析」という統計的な手法で検討し、描かれる樹形図で母語話者と学習者の相違を明らかにした。その結果、まず「家族」の場合、家族に対する敬語使用率は母語話者の調査協力者の3.4%、学習者の58.2%であることから、母語話者は家族のようなウチ側の人に対して敬語をほとんど使わないが、学習者は母語話者が家族に対してもよく敬語を使うと思っている。次に、「親戚」の場合、年上の親しい親戚と同年齢の親しくない親戚に対する敬語使用率はそれぞれ母語話者の調査協力者の35.8%と35.5%であるが、学習者の76.8%と57.9%であることから、大半の学習者はこのような場合、母語話者が敬語を使うと思っている。最後に、「知らない人」の場合、インフォーマルな場での同年齢の知らない人、および年下の知らない人に対する敬語使用率はそれぞれ母語話者の調査協力者の58.2%と58.5%であるが、学習者の42.1%と28.9%である。つまり、母語話者はこのような場合、学習者より高い割合で敬語を使って話す。 |