主に日本語学の立場から、『問答篇』・『語言自邇集』をもとにした中国語会話書である『総訳亜細亜言語集』および『参訂漢語問答篇国字解』を取り上げる。このふたつの資料については、園田(1998a)で、助動詞「です」が『総訳亜細亜言語集』に1040例、『参訂漢語問答篇国字解』に12例現れること等を示した。園田(1998b)では、『総訳亜細亜言語集』と『参訂漢語問答篇国字解』の日本語および中国語の対応例についても論じた。ただ、最近になって、これらの成立が今まで以上に詳しく分かってきたので、最新の成果を踏まえた上で、あらためて、日本語が現れる日本語資料として、どのように捉えたらよいのかを考察したい。その際、下記の点が重要になる。(1)日本語訳文がもとにした中国語原文は何か。(2)日本語訳文を作る際に中国語原文をどのように改変したのか。(3)改変があった場合、日本語訳文が原文で、改変された中国語文は中国語訳文というふうには考えられないか。 |