本研究の目的は動詞「~む」による派生形容詞「~ましい」の用法と意味を明らかにすることである。日本語語彙論、文法論、コーパス言語学、コロケーション研究の理論を援用して、派生形容詞「~ましい」の実態を観察したあと、ケーススタディとして「望ましい」の用法と意味を考察する。考察結果は次のようになる。(1)元動詞「~む」による形容詞「~ましい」の派生には語彙制限がある。(2)語彙分類において「~ましい」の意味範疇は「~む」のそれより広い。(3)「望ましい」の連体修飾用法も述語用法も分類において幅広い範疇にまたがっている。(4)現代日本語における「~ましい」の連体修飾用法と述語用法の共起名詞は異なり語数が大体同じである。(5)「望ましい」は中立的評価の元動詞「望む」と違って、プラス評価をもっ語である。 |