近年、台湾では生活品質の向上の面から、生涯スポーツの振興が重要な政策課題となっている。その振興策として、「打造運動島計画 ( スポーツ島形成計画) 」が2010年から2015年の6年間実施された。本稿では、同計画の内容を精査し、その実施状況について評価を行った。同計画の特徴は以下のとおりである。第一に、スポーツ実施の動機づけを高めるために、スポーツ表彰制度を導入する。第二に、住民のスポーツ参加への便宜を図るために、スポーツ関連の環境を整備する。例えば、インターネットやテレビなどの媒体を活用し、スポーツ施設やスポーツ活動に関する情報を積極的に広報する。また、住民の身近な活動場所である地域スポーツクラブの新設及び増設を行い、地域住民に施設の利用を促す。以上の施策によって、潜在的なスポーツ実施希望者をスポーツ活動に参加させ、スポーツ人口の増加を図ろうとしている。同計画の成果と改善点は、以下のとおりである。地域スポーツクラブは徐々に増加し、スポーツ人口は顕著に増加している。これは、現時点で生涯スポーツの推進政策が一定の成果が現れていることを示している。しかし、地域スポーツクラブを含めた生涯スポーツの関連組織の運営面では、各関係組織間の連携不足、民間資金獲得の不足、さらに政策決定過程への国民参加が大きく制約されている等の問題が生じている。それらの改善点を踏まえて、組織の運営改革を進めることが、将来の生涯スポーツの継続的な発展のためには必要であろう。 |