安楽死は通常積極的安楽死と消極的安楽死に分けられる。前者はこれが殺人罪又は同意殺人罪になることを否定し、正当化できるか、そうであれば責任阻却の要件は何かに重点を置く。後者はその範囲がどこまでかを論じる。刑法において延命措置の中止は不作為犯なのか作違犯なのかという論争がある。この点について、延命措置の中止を消極的安楽死の範囲と理解するか積極的安楽死の範囲に属するかについて争いがある。本文では安楽死、尊厳死の刑法上の規定と立法の必要性をそれぞれ論じる。同時に病人が臨終の際に医師に医療の中止を要求することの法律上の意義の問題を議論の中心として名古屋高等裁判所、横浜地方裁判所の形成した要件判断を検討する。更に、2007最後にこれを前提に比較法的観点から中止措置の要件についてそれが適法化を決定するための「法規範」の必要性について提起する。年に厚生労働省が公布した「終末期医療の決定プロセスに 関するガイドライン」2014年の「人生の最終段階における医療 に関する意識調査」報告書等の関係する意識を挙げ、2015年の 議員連盟におけるこの問題に対する立法動向、そして終末期の医 療における患者の意思の尊重に関する法律案、更に日本弁護士連 合会のこの法案に対する批判を検討する。 |