英文摘要 |
日本では、マンガ産業は大きな産業となっている。そして、これは出版社など、いわゆる正規の「マンガ」として発売されているわけではないいわゆる二次創作による「マンガの同人誌」などについても同様である。このような同人誌は、全てではないものの、既発表マンガの二次創作などが圧倒的多数を占めている。二次創作の場合、当然にそこには著作権法上の問題が生じ得る。本稿では、このような著作権法上問題となり得る作品がなぜ日本で大規模な市場を形成しているのか、この法律と社会の乖離をどのように捉えるべきなのかを法社会学的に検討する。 また、さらにTPP(環太平洋パートナーシップ協定)により知的財産権侵害が非親告罪となろうとしたとき、多大なロビー活動を行ってこれを阻止した赤松健の活動についても検討を行う。 本稿の結論としては、法社会学の分野でこれまで指摘されていた「西ヨーロッパの先進資本主義国家ないし近代国家の法典になって作られた明治の近代法典の壮大な体系と、現実の国民の生活とのあいだには、大きなずれがあった」という状況が、著作権法とパロディーが掲載された同人誌の間で現在も続いているためであるとする。 In Japan, the manga industry is a large industry. This also applies to ``manga doujinshi'' created by so-called derivative works that are not released as official ``manga'' by publishers. Although not all of these doujinshi, the overwhelming majority are derivative works of previously published manga. In the case of derivative works, problems under copyright law may naturally arise. In this paper, we examine from a legal sociology perspective why such works that can be problematic under copyright law form a large market in Japan, and how we should understand this discrepancy between the law and society. do. We will also examine the activities of Ken Akamatsu, who conducted extensive lobbying efforts to prevent intellectual property rights infringement from becoming a non-prosecution offense under the Trans-Pacific Partnership (TPP). |