中国の外交政策決定における国内要因に関しては、中国共産党による独特の統治形態、対外関係に関わる多くの党・政府組織など、他の諸国家とは大きく異なる諸制度にも着目する必要がある。中国における外交政策決定メカニズム、つまり、外交政策決定に関わる構造のあり方は、政策の内容そのものに対しても一定の影響を与えることになる。江沢民時代以降の中国の外交政策決定に関わる党・政府の組織、すなわち「外事口」の制度的発展は、毛沢東時代の政治の個人化を是正しようとするとする鄧小平の政策を引き継ぎながら、既存の組織を改組、あるいは新設することにより、より一層制度化を進める過程であった。習近平は、党中央によるトップダウンの一元的指導を強化しながらの制度化を進めているが、最高指導者個人への権力集中を背景とした党主導による大胆な制度改革は、権力のチェックを伴わないことから、そこにはリスクも存在する。 |