現代の高度な生産段階に達した産業システムは、日本における大規模な消費社會の形成を実現可能なものとした。この消費社會の発展に伴って、消費者の行動や意識も変わってきた。消費社會の各段階において、様々な消費者問題や環境問題が社會の課題として、われわれの消費生活に小さからぬ脅威をもたらした。消費者問題や環境問題がこようにますます深刻化する中で、「生活社會」や「消費者市民社會」への転換が求められている。すなわち、これからは単に経済利益に関わる「消費者」という概念を超えて、もっと複眼的に「生活者」、「消費者市民」という視點を據えた市場・社會が21世紀に向けての重要な課題となっている。こうしてこそ消費者は経済的主體、社會的主體として、モノより心の豊かさを追求し、企業活動さらには國民生活の政策の見直しを促すよう社會大衆間の連帯によって、「生活社會」や「消費者社會」の実現が可能となる。 |