陳伯陶先生、喜壽をお迎えになり、誠におめでとうございます。さて、陳先生に初めてお目に掛かったのは2008年4月淡江大學で二日間講演を行った時だった。わずかな滯在だったので、あまりお話をする機會がなかった。その5ヶ月後の9月に集中講義を行うべく、日語文學系の事務室を訪れた。そこに陳先生がいらっしゃった。學系主任の彭春陽先生に「草薙先生ですよ」と言われた先生は急いで名刺を取り出そうとされた。私は、この「老教授」は私を忘れてしまったな、と思いながら、「先生、4月にお目に掛かり、お粥をごちそうになりました。あのお粥、ほんとうに美味しゅうございました」と遮った。この瞬間が先生と私との交流の始まりとなった。陳先生は「老教授」どころか、臺灣のことは勿論、日本語や日本の文化などの知識が実に豊富、その上、日本語はまさに完璧でエトランゼの表現など全くといっていいほど出て來ない。まさに、好學の士であるとともに、長年のご努力を彷彿とさせる。 |